試験開始。 |
伝統構法と耐震性能, 伝統構法について, 実験・理論 |
何しろ重い。
大人5人掛かりで、汗だくになりながら試験体を実験台にセット。
準備が整った時は、お昼をまわっていました。
「それでは、始めまーす。」
お昼もそこそこに、仕事に取り掛かってくれました。
試験体に、荷重をかけ、徐々に大きく変形させていきます。
パソコンにはリアルタイムで、変位の大きさ、応力、等の情報が送られてきます。
今回の試験体は、極めてシンプルな伝統構法の基本的な木組みです。
当然、釘、金物は、一切使っていません。
使用する木材については、うちの会社の天然乾燥の木は使わず、一般的に市場に流通している資材を使っています。
そうして得たデータの方が、他の会社さんにとっても利用しやすく、普及しやすいデータが得られると考えたからです。
現在、国の基準法では、土壁については、竹小舞しか認められていません。
この試験体は、私たちのふるさと、長野県の先人達によって受け継がれてきた、葦(よし)竹による土壁です。
竹を編む縄も今では、ビニール製の編む職人の指に優しい、丈夫なものが出回っていますが、この試験体は、昔ながらの縄で編んでいます。
貫伏せも今では、メッシュ製の強度が出て、ひび割れも抑えることができるものもありますが、ここではやはり、昔ながらの藁(わら)を使っています。
全て土に帰るものだけで作りました。
葦竹による土壁の強度に関するデータは少なく、そうした意味でもこの実験は、僕にとってやらなければならないものでした。
次第に大きな力を加えて、変形を大きくさせていきます。
目標は、壁倍率1.5倍です。
この倍率は、厚さ3cm 、幅9cm の筋交いと同等の強度となります。
つづく。