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石場建て構法 ♯2 壊れようのないつくり方 その1

伝統構法と耐震性能, 伝統構法について

どの工法にも言えることですが、地震時において、一番負荷が強くかかり、壊れやすいのが、柱と梁の接合部分です。

一般工法においては、この部分が、時代の流れと共に、強い接合設計がなされ、今では、筋違いプレートと金物で補強するようになりました。コンクリートや鉄で家をつくる人が出てきたのも、強度志向の方向性の結果といえます。

もし、この接合部を壊れようのないものにするとしたら、補強の他にどんな方法があると考えますか?
どんなに強い衝撃がかかっても壊れないようにするには、強く補強するよりも、発想を逆転して、一定の負荷がかかったら、折れ曲がるようにつくってしまえば、壊れません。

人間の骨格に例えれば、骨にプレートをとりつけて補強するのではなく、折れる場所は初めから、関節に変えておけばよい。自然の脅威とは対峙せず、受け入れ、受け流す。

地面が動いたら建物も一緒に動くことによって、エネルギーを受け流す。
石場建ては、礎石の上に載せた柱が、独立して動き、柱と梁の接合部は、主に鼻栓や、込み栓で止め、極めてまれに起こる大地震の時でも、栓の損壊程度ですます。

しかし、この栓も、接合部の部材内部で壊れる為に、折れたら折れたで、こんどは楔(くさび)効果を発揮し、耐力の低下を防ぐという役割を果たします。
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木のしなり(靱性・じんせい)で、エネルギーを受け流し、関節部分をたくさんつくって折れる個所をはじめから無くし、究極の衝撃には建物ごとジャンプして地面から逃げる。どこまでいっても壊れるという現象を回避しまくっているのが石場建てのすごいところです。まるで体のやわらかい忍者のよう。

実大の挙動実験においても、石場建て・柔床構造は、土台敷き・剛床構造に比べ、建物に負荷としてかかる、層せん断力、層間変形角が共に大きな波形を描くことなく測定され(ようするにエネルギーを受け流している)、その結果、折損個所が非常に少ない(ほぼ0)ことが明らかになっています。
この時建物に与えた加振はJMA神戸波(阪神・淡路大震災)ですから、この折損箇所の無さは、驚くべき事実で、こんなにすごいのかとおもわず声がでました。 
 
つづく