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伝統構法と薪ストーブ

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小坂建設について

古民家を古民家のまま生かす

*千年先のわたしたちの周りはどうなっているだろう。あのビル、あのマンション、そして、私たちの住んでいる家々。
きっとかげも形もないだろう。人間のつくったもので、千年以上先までそのままの形で残っているものを見つけるのは、きわめてむずかしいに違いない。

ところが、古代の人々はそれを成し遂げた。
  ~中略~
コンピューターもブルドーザーもなかった時代に、古代の職人たちは千年たってもびくともしない建物をつくりあげたのだ。
  ~以下省略~

「千年の釘に挑む  内藤誠吾」  小学5年生の国語の教科書より抜粋


*「我々は達人ではないけれども、達人の伝統をふまえてやっているのだから間違いないんや。」
                             西岡 常一


私たち日本人は、自分達の建築文化の豊かさをいまだ理解できていない。

古民家再生に関する工事は、そのほとんどが金物や筋違いに頼るやり方が蔓延している。
それは、間違っている。
長野県の建築文化に目を向けると、とても豊かな文化に恵まれています。
小谷村では、現在も茅葺き屋根の文化が受け継がれ、木島平村では、手すき和紙(内山和紙)の文化が今も受け継がれています。

長野県では、古くから土壁の骨組みには葦(よし)が使われてきました。
土壁は、一般建築建材と違い、長期間に渡って、室内の調湿をほぼ完璧に行います。
また耐火性能にもすぐれ、東京大空襲の業火に耐えた蔵もあったほどです。
耐震性能はこれまで、データとしては未確認でしたが、これも実験してみると、驚くほど信頼性の高い耐力壁としての性能を持っていることが確認できました。
(詳しくはホームページ ブログ 確信を持った日をご参照ください。


東北大震災の時、栄村は震度6強の地震におそわれましたが、現地調査をしてみると、現代の最新の新築住宅は土台から柱が金物に引き裂かれるようにして損傷しているのに対して、
築300年を超える古民家は、土壁に地震時の第一波の衝撃を受けたわずかなヒビがみとめられただけで、構造体の損傷はどこも認められませんでした。
究極の状況において、両者を比較するにまさに勝負あったという結果でした。しかしこの事実を知る人は、とても少ないのが現在の状況です。

その勝負を分けた建物の性能の違いが、建物の柔構造による固有周期にあるということも知る人はごくわずかです。
現在残っている古民家は、これまでの時代の変化の中で、本来あるべき壁を取り払ったり、浴室を新たに建物内部に作ったりして、壁の配置や建物の剛芯のバランスがくずれ、
その為、地震に耐えきれない状態になっているものがあります。

それを、筋かいや金物で改修するのは、本来柔構造であった建物を剛構造に変えてしまうことになり、それは、建物の寿命を一時的に延命しているだけで、次の強い地震が来たら倒壊はまぬがれても、栄村の新築住宅同様、致命的なダメージを受けることになります。

古民家は伝統構法の正しい技法のもとに、通し貫と土壁を用いた正しい再生方法を行うことによって、はじめて真の再生が可能となり、時代を超えて生き続ける建物となる事をどうか知ってほしい。
そして、古民家を我々に残してくれた先祖に感謝をし、正しく再生させて、今度は後世に感謝される建物をのこしてあげてほしいと願います。

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