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家と温熱について 〜根本から断熱材の意味を問う〜
地球上で、太陽からの熱を最も強く受けるのは赤道直下です。理由は地表面に対して太陽光線が直角(90°)にあたるからです。
日本においては、夏は太陽光線が約80°の角度であたります。
これに対して冬は約30°の角度であたります。
だから夏は暑く、冬は寒いのです。
太陽光線に対して地軸が傾いているため、南半球では夏と冬が逆転します。
ここまでは常識の範囲として誰でも理解している事だと思います。
日本の緯度では、前述したように夏の太陽光線が約80°の角度で照射されます。
仮に屋根の勾配を10°の角度でつくれば、屋根面に太陽光線が直角にあたり、赤道直下と同じ状態になります。
屋根勾配が10°というのは大体2寸勾配の屋根になります。
したがって2寸勾配に近くなればなるほど、夏場の強い日差しは直射に近い状態で屋根を照射します。
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古民家の屋根を見るとどれもみな急勾配に作ってあります。
図にまとめてみました。
屋根勾配によって、勾配が急角度になればなるほど、夏の直射をいなし、冬の直射を受けることがわかります。ようするに夏は涼しく、冬は暖かい屋根ということです。
反対に、現代の勾配の緩い屋根は、夏暑く、冬寒いとなります。
このブログの言いたいことです。「根本から断熱材の意味を問う」
屋根面の季節別の受熱量のデータです。
合掌造りの屋根と4寸勾配の屋根とでは、夏と冬の受熱量が正反対になっています。4寸勾配ですらこの差ですから、勾配のもっとゆるい現代の屋根はもっとこの差が大きくなり、夏暑く、冬寒いとなります。
~根本から断熱材の意味を問う~
現代は、自然と共存する先人の知恵を無視し、数値に頼るから無駄に断熱材を使う事になっている。
こんなつくりの家のどこが省エネと言えるのか。住宅についての価値基準の根本が、日本人古来の自然に対する考え方からずれていると言わざるを得ない。
だから自然との共生からどんどん隔絶した家づくりになっていってしまう。
家づくりにおいて、工業製品の使用量と、先人の知恵の使用量は、反比例するという事です。