- 一言(7)
- 伝統構法の家(92)
- 土壁・漆喰の家(1)
- 小柴見M様邸
- 篠ノ井T様邸(1)
相談予約・お問い合せはお電話または、フォームから承っています。
土壁の家の温熱データ
茅野市 Ⅿさま邸の家の長期にわたる温熱データです。
施主さんからデータの提供をして頂きました。大変貴重な生データです。
6月(梅雨)エアコン不使用
梅雨の時期、室内の湿度は一定を保っています。
7月(夏季)エアコン不使用
1月(冬季)日中および就寝時間の暖房機スイッチOFF(夕方計測後~22時頃まで暖房スイッチON)
2月(厳冬期)日中および就寝時間の暖房機スイッチOFF(夕方計測後~22時頃まで暖房スイッチON)
外気温の寒暖差の対して、家の中は気温、湿度ともに非常に安定しているのがよくわかります。
外気温が-10°を下回る厳冬期の朝においても家の中の温度は+10℃を下回ることがありません。
土壁の蓄熱性能のおかげです。
又室内の気温差も最大で3度程度で4度を超えることはありません。また湿度も終日および一定期間ほぼ一定の状態を保持しますので人間の体にとって非常に過ごしやすい室内環境であることが数値上からもわかります。
土壁は室内の湿度を常に一定に保つために、常に呼吸し続けます。湿度だけでなく、人体に有害なホルムアルデヒド等も除去してくれます。
家の実態ではHEAT20のG1基準およびZEH基準も満たしています。これがUA値だのQ値だのという計算シートにのせると基準を満たす数値にはなりません。土壁には断熱という性質が無いに等しいとみなされるからです。
ここに根本的な問題として、人間が自然の一部であるという観点が欠如している点が挙げられます。
土も木も生きているからこそ呼吸をします。その呼吸によって、人間が生かされている観点こそ、最も大事に学ぶべきなのに、その価値基準には目を向けない。というより日本人全体が、もう見えなくなっているのか。
金物の方が強い、断熱材の方が温かい。太陽光パネルの何が省エネですか。その工業製品を作るためにどれだけの資源、自然を消費してるのか。その工業製品の廃棄処分はどうするのですか。それのどこが地球にやさしく、人にやさしいのですか。
人間は自然の一部に過ぎないから、自然を生かしてつくってさえおけば、あとや自然が人間を生かしてくれる。土壁はそれを教えてくれている。
木に白い美しい花がいっぱいさきました。
木は自分のすがたがこんなに美しくなったので、うれしくてたまりません。
けれどだれひとり、「美しいなあ」とほめてくれるものがないのでつまらないと思いました。
木はめったに人のとおらない緑の野原のまんなかにぽつんと立っていたのであります。
-新見南吉 「木の祭り」より抜粋-
次回 Ⅿ様邸竣工写真をアップします。