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伝統構法と薪ストーブ

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小坂建設について

立ち止まって考える

今は情報が自分で考えるよりも先に入ってくる。

地震に強い家
夏涼しくて、冬暖かい家
省エネルギー住宅
ゼロエネルギー、低炭素、などなど。

それらを高い数値で満たしたものを、人はおのずと目指す。
「いい家」の条件として情報が先に与えられるから。
それ以外の事を自分で考える労力がここで省かれる。

野生の動物は、自分で獲物をつかまえなければ生きていけない。そのためには知性が必要となる。経験から学んだ知恵が必要となる。
ペットは、主人から餌が与えられる。したがって獲物をつかまえる為の知性は必要ない。しかし少なくとも自分の主人は認識できる。
家畜は、餌だけが目の前にある。生きる上で自ら考える知性を持つ必要がなく、誰が主人かを知る必要すらない。
それは非常に楽な生き方だ。自らは何もしなくていいのだから。
人間社会では、餌を情報と置き換えることができる。
自ら考えなくてもいいように、情報が先に与えれらる。

子育て支援住宅という言葉があります。
対面キッチンをはじめ、家事動線を意識した間取りなどが考慮された家をいうのだそうです。

こういった情報がキャッチフレーズと共に大量に与えられるほど、家づくりに対して人は思考を掘り下げていく事を止めてしまうことに情報の怖さがあります。

家は子供にとって、社会人になるまでの間、独り立ちできる人間形成の訓練の場としての役割をもっています。
はきものをそろえてから家にあがることや、部屋の整理整頓、服をたたむこと、ふとんのあげさげ、などなど。

経済は、人のもっと楽をしたい、という欲望を利用して、そこをビジネスにしている面があります。
たとえば、障子は張替えが面倒だ。もっと楽をしたい。そうするとそんな必要のない製品があらわれ、それがビジネスになる。
その結果、障子の張り替えひとつしたことのない子供が増えていく。
障子を手間をかけて張り替えたときの達成感は、経験として子供の心の中に積み上げられていくのに。
今の子供はこうした体験がとても少ないまま大きくなっていってるように思います。

写真左の絵は、昔の子供(小学6年生)の描いた絵。
右の絵は、今の子供(小学6年生)の描いた絵です。
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楽をしたいという欲に任せて便利なものを得る場合、それで失うものの大きさを必ず考える必要があります。

どんなに現在あたりまえとされていることでも、みんながそうしていることであっても、そのもとをたどればどんな考えに基づくものなのか、ただ楽をしたいだけなのか、そうでないのか。
まず飛びつく前に、立ち止まってよく吟味する余裕を持ちたいものです。
踏みとどまる力と信念を持ちたいものです。

かつてストーブ一台で冬あたたかい家として、高気密住宅がもてはやされ、その結果シックハウスが社会問題になりました。
その危険性を訴えた人はわずかでしたが、ちゃんといました。でも先に与えられた情報に大勢の人が流された結果、社会問題までなってしまいました。
今でも換気扇や吸気口をつけなければ建築許可さえ下りない国になりました。とても情けない話です。

耐震といえば一斉に震度8でも倒れない家をめざす。(震度8でもこわれない家の怖さはまたいずれ改めて書きます)
省エネといえば、省エネを一斉にめざす。
夏涼しくて、冬暖かい家となれば一斉にめざす。そうしてみんなと同じ大きな流れに簡単に流されていく。
住宅雑誌をみれば、ご主人の趣味のスペースとか、家事動線とか、空間がどうとか、情報があふれかえっている「今」。
いろいろな異なる種類の情報がたくさんあるにもかかわらず、なぜか私にはすべて同じにみえます。

自分で考えるより先に与えられた情報を手にして、自分ではわかったつもりになって、何も疑問を持たず与えれらたイメージ通りに家づくりをはじめる。
ストーブ一台で済む家、障子の張り替えの必要ない家、震度8でも壊れない家。

でも何か違う気がする。

もし、少しでも「今」に違和感を感じるのであれば、その違和感の根源を徹底的に追及してください。
とても大事なことです。
「今」に流されることなく、立ち止まって考える。
子育て支援の家を簡単に求める前に、まず自分の子供をどんな人間に育てたいと望むのか。その考えをもとに自分の子育て支援の家を掘り下げて考えてみる。

ただ楽をする目的で家を選ぶのも人の選択であるのと同様に、手間がかかるものをあえて選択するのも人の選択です。

障子の張り替えの経験のない子供と、張り替えの達成感を獲得した子供との豊かさの違い。
ベッドで寝て、布団はそのままの子供と、畳の上で布団をたたみ、押入れにしまう手間をあたりまえにできる子供との違い。
コンビニで買った弁当を子供に与えて平気な親と、有機無農薬にこだわり、手間をかけて子供のために食事を作る親との違い。
除草剤をまいて野菜をつくる農家と、除草剤を使わずに雑草と戦いながら野菜をつくる農家の違い。

何が豊かになることを望むのか。

私は手間をかけることの大切さ、たのしさ、豊かさを伝統構法から教えてもらいました。
情報や、便利さがあふれかえっている今、家づくりは、これまでの暮らしや考え方をリセットして、ただ欲を満たすだけの便利さは不要になったものと一緒に捨てて、人が本来もつべき大切なものを新しい家と一緒に取り戻す良いきっかけになるのではないでしょうか。


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