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古民家(見えない物)と向き合う
ここ数年、古民家の再生工事があちらこちらでおこなわれるようになりました。
古民家と一口に言っても、じつにさまざまな建物が日本には存在しています。
岩手県などの東北の伝統的な古民家は入母屋で作られています。東日本大震災でも古民家は倒壊せず、津波にも流されずに残っていました。
金沢、富山など北陸地方の古民家となりますと、「枠のうち」と呼ばれる吹き抜けが特徴です。
その空間の屋根には明り取りがつくられ、今でいうトップライトがあります。
京都は京町屋が京都の伝統構法としてあります。
日本の各地方にはその地方独特の伝統構法の文化があり、それは、それぞれ独自の歴史と風土の中で時間をかけて洗練されて完成したつくりとなっています。
こうした古民家と向き合う時間が、私はとても楽しいです。建物を通して当時の棟梁とコミュニケーションができるからです。
この、はねっ木上手につかいましたね。この梁組みは一見すると下から順にくんであるように見えますが、実は先にこっちから組んでますねとか。
頑丈な込み栓を木槌で打ちこむ音が、栓を見ると聞こえてきます。私どもも同じようにして作っているからです。
とても楽しい時間が過ごせます。名工となると、木とコミュニケーションして木を生かす技を持っています。
その技が伝統構法として今日まで受け継がれてきたわけです。
古民家の再生は、工事会社、施主さんとも、工事手段、予算、工事期間など、限られた条件の中で行われる難しい事業です。
施主さんの心労はさっするにあまりあります。それでも残したいと、それも正しい方法で残したいとそう思っていただけるだけでもありがたいことです。
木は生きているし、人間も自然の一部です。木を大事に思う施主さんに住んでいただける古民家は、きっと意志を持って施主さんの家族の命を護ってくれると信じます。