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伝統構法と薪ストーブ

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小坂建設について

縁側の話 

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あまり見学会をやらない当社にとって、完成して実際に住まわれているお客様とのつながりはとても大事です。
少し前の話になりますが、伝統構法で家を建てたいお客様を、実際の伝統構法のお家にご案内させて頂く事になり、そのお願いも兼ねてごあいさつに伺った時のことです。

縁側に、近所の子供たちが集まり遊んでいる風景に出くわしました。
施主の奥さんと、とてもいい風景ですね。とお話しさせて頂きました。
そこで、宿題をやったり、おやつを食べたりしてるんですよと奥様は私に話してくださいました。

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昔はよくあった風景なんですけどね。
玄関はもとは武家屋敷などの正式な入口としてあって、縁側は家と外部とをつなぐものでした。
私の小さい頃は、親戚の家には玄関からあがったことはまずなくて、いつも縁側からこんちわーといって入っていったものです。

後日、お客さまをご案内したわけですが、私はいつもあまり家の説明を自分からはしません。実際に入ってみて五感で土壁や桧の香り、ビスや金物や新建材の無い部屋の空気をまず感じてほしいからです。
また、住まわれているお客様と、これから建てるお客様との会話が、これから建てるお客さまにとって一番大切な情報になると思うので、できるだけその邪魔をしないようにしています。

当社にこられるお客様は、読んでいる本や、考え方がとてもよく似ていてみなさんだいたい、いくつもの展示会や見学会を見て、やっと見つけたといった感じになります。
次に、木をふんだんに使って、しゃれた感じのもいいけど、あれじゃないんです。と言われます。
このあれじゃないんですという言葉が、始めは私にはよく意味がわかりませんでした。ところがご案内する度に、べつのお客様からも同じ言葉を言われ、その意味がだんだんわかるようになりました。

私どもは、自分個人がいいと思う物を作っているのではなく、本来はこうなんですよと受け継がれてきた文化の中継役をやっているだけです。
受け継がれてきた建物の正しい作り方を学び、そこを出発点として、土壁、和紙、などの建築文化の素晴らしさをそのまま伝えることに徹して作るのが私どもが取り組んでいる家です。

幾世代も住まわれ続けてきた古民家は、現代においてすら再生工事がさかんに行われ、いまだに人々に飽きられていません。
この古民家は設計士や建築家の作品ではなく、名もない職人たちの手でつくられてきたものです。
その手、扱う道具、材料には千数百年に渡る文化や知恵の集積があり、私どもを訪れるお客様は極端な言い方をすれば、小坂建設の家でなはく、建築文化として伝えられてきたもの自体を純粋に求めているからこその選択であることをお客様に教えて頂きました。

感謝!


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