壁や土間、瓦の接着など、家のあらゆる場所に建材として土が使われていた時代、家を建てる上で必需品だったのが「土」でした。今でこそ、土に変わる建材も増えたため、専門に扱う会社も少なくなりましたが、今も現役で、土づくり一筋で頑張っている工場が、長野市の千曲川河川敷にあります。
左官屋さんにも評判のこの土、実はおばあちゃんがつくっているんです。
近年では、古民家再生や文化財の利用、更には伝統構法といった、土壁による家づくりも改めて見直されており、新しいニーズのもと、県内外から注文があるそうです。
土壁に使われる土には、荒さに応じて種類があります。
土も自然物である以上、その土地の気候や場所によって土の個性も変わるため、その個性を見極める職人の「眼」が、良質な土づくりには欠かせません。それは、個性や種類によって、土に加えるワラや砂も変わってくるからです。
同時に、「じっくり寝かせる」「適切なタイミングで練り直す」など、瞬間瞬間で変わる「間」を感じ取れる技も、強度ある土づくりには欠かせません。
この絶妙なさじ加減は、長い間「左官屋さんが塗りやすい土」をつくり続けて来た、小坂商会様だからできる「品質」であり、小坂商会様にしかつくることのできない、良質な土であることが、壁土から感じ取ることができます。
細かく振るって水を足し、機械で何度も混ぜ合わせることで出来上がるミルクチョコレートのようなトロトロの土。何度も混ぜ合わせ、手間ひまかけてつくられる土は、一見すると、「これが土なの?」と、驚くようなトロトロ感を生みだします。
この滑らかな土を熟成させる事で、強度ある壁土へと仕上げて行きます。
今では少なくなってしまったベト屋さん。時には学校からの依頼で、地元の子供たちを交え、工場見学を行うこともあるそうです。
子供たちの喜びに溢れた笑顔は、見ているこちらも嬉しくなってしまいます。
工場見学に訪れてくれた子供たちから頂いたプレゼントは、かけがえのない思い出と共に、大切な宝物です。
長野市の千曲川河川敷にある小坂商会様。
土づくりから配達までお一人で切り盛りする、元気でパワフルな小坂さんの姿が印象的な、40年以上にも渡り土をつくり続けている、県内でも数少ないベト屋さんです。
良質な壁土をつくってくれる近隣では唯一の工場で、小坂建設の土壁づくりには決して欠かすことのできない存在です。