伝統を受け継ぐ小坂建設の職人

親方の手のひらから弟子へ

昔から、職人技術というものは書物で伝わるものではなく、親方の手から弟子へと、直接手を返し伝えられて来ました。また、親方から弟子へと受け継がれて来た技は、何年も修行を重ねた、熟練された職人にしか成しえない、卓越された技術であると同時に、人間だからこそ出来る、日本人の知恵の集積であるとも言えます。

この優れた技術を絶やす事なく、今の世代がしっかりと受け継ぎ、後世に伝えていく必要があると、私たちはそう確信しております。

受け継がれてきたもの

金物から解放された家づくりは、職人たちに「誇り」を蘇らせると同時に、職人たちの手により育くまれる木は、生き生きと本来持っている「粘り」や「曲げ応力」を十分に発揮します。

この、代々受け継がれて来た技こそ、伝統構法の神髄であり、職人たちの心と、木組みの技術がひとつになった家は、世代を超えて高い安全性を保ち続けます。

このことは、震災でも建ち続けた多くの古民家が証明しております。

蘇る匠の誇り

金物やプレートをビスやボルトで締めるだけの、修練や技術を必要としないプレカットとは異なり、伝統構法は、木一本一本のクセを見極める、仕口に対する深い知識と共に、すみ糸一本の内側と外側をのこぎりで挽きわける、非常に高い技術力を必要とします。

この構法を担える棟梁は、おのずと限られた大工のみとなり、そこには厳しい訓練を一生懸命積み重ねたからこそ到達できる、匠の「技と誇り」が息づいております。

道を極めた棟梁の研ぎ澄まされた手先の感性は、一分の隙も許さず、材に鉋をかければ、美しい絹にも似た鉋くずができます。また、振り下ろす槌のひとつひとつには、魂が込められ、そこには伝統を受け継ぐ高い志と、建築への情熱が込められています。

ゆえに、伝統構法の家には匠たちの真心が宿るのです。

理にかなった構造は「美」を持つ

一切の無駄を削ぎ、内側からにじみでる美をあらわす言葉で、「わびさび」があります。日本人の美意識には、装飾に包まれたものより、簡素な中に美を感じ取る感性があります。

金物に頼らず、通し貫を用いて純粋に構造架構のみで家をつくる伝統構法は、無駄な柱は一本たりとも存在せず、全ての梁は整然と組まれます。そして、組み上がった構造体からは、思わず「凄い」とうなってしまうような緊張感と、完成された美しさを現します。

日本には、こうした美しい構造体を持つ建築がたくさんあり、法隆寺や山口県の錦帯橋には、合理的に整然と組まれた素晴らしい木組みの技術が至る所で垣間見る事ができます。

職人さんのご紹介

棟梁 大久保 守正
大工 田中 節夫